ケニア人ランナーから健康長寿を解き明かす

一本歯下駄GETTAで習得する全身的パフォーマンスと動作習熟の新パラダイム

 

ケニア人ランナーから健康長寿を解き明かす
一本歯下駄GETTAで習得する全身的パフォーマンスと動作習熟の新パラダイム

世界最強のケニア人ランナーたち。彼らの圧倒的なパフォーマンスの秘密は、単なる生まれ持った才能や筋力ではありません。その本質は「ランニングエコノミー」という燃費効率の高さにあり、それを生み出しているのは、体幹深層部の活性化、アキレス腱の弾性エネルギー利用、そして三次元的な螺旋運動です。この科学的メカニズムこそ、一本歯下駄GETTAトレーニングが再現するものなのです。

一本歯下駄GETTAで体得するケニア式高効率ランニングメソッド

パートI:効率的な動きの基礎

エリートアスリートのパフォーマンスを解き明かす鍵は、単一の筋肉の出力や生理学的最大値にあるのではありません。それは、身体という複雑なシステム全体が、いかに調和し、効率的にエネルギーを利用して運動を遂行するかにかかっています。本パートでは、従来のパワー中心の考え方から脱却し、全身的な効率性、すなわち「エコノミー」という概念をパフォーマンスの根幹に据えます。

第1章 パフォーマンスの再定義:パワーからエコノミーへ

持久系パフォーマンスの究極的な指標は、最大酸素摂取量のようなエンジンの「最大出力」だけではありません。真の決定要因はランニングエコノミー(RE)、すなわち特定の速度を維持するために、いかに少ないエネルギー(酸素)で走行できるかという「燃費効率」にあります。この概念こそが、すべての力学的原則を貫く中心的な「なぜ」に答えるものです。

従来のパラダイム
筋力・パワー重視
筋肉を大きくし、最大出力を高めることに主眼を置いたトレーニング
 
新パラダイム
エコノミー重視
神経筋系の制御プログラム最適化で運動効率を高めるトレーニング

ランニングエコノミーは、体重1kgあたり1kmを進むのに要する酸素消費量として定量化される指標です。エンジンのサイズ(最大酸素摂取量)を増大させることのみに固執し、燃費効率を改善しなければ、アスリートは早期にパフォーマンスのプラトーに直面します。

ケニア人ランナーが長距離界で圧倒的な強さを誇る理由を人種的な特質に求めるのは短絡的な誤解です。その本質は彼らが体得している卓越したランニングエコノミーにあります。彼らの走り方は、エネルギー消費を最小限に抑えるための洗練された技術体系なのです。

これは、トレーニングのパラダイムを根本から転換させることを意味します。従来のトレーニングが、筋力や心肺機能といった身体の「ハードウェア」の増強に主眼を置いてきたのに対し、これからのアプローチは、運動効率を司る神経筋系の制御プログラム、すなわち身体の「ソフトウェア」の最適化に焦点を当てなければなりません。

ケニア人ランナーは、単に生理学的に恵まれているだけでなく、効率的な運動プログラムの達人なのです。彼らの強さの根源は、遺伝的資質という「ハードウェア」にあるのではなく、そのハードウェアをいかに効率的に使いこなすかという「ソフトウェア」にあります。したがって、コーチングの目標は、単に筋肉を大きくすることから、より優れた運動コードを身体に書き込むことへと移行します。この視点の転換こそが、アスリートの潜在能力を最大限に引き出すための第一歩となります。

第2章 身体の真のエンジン:コアとインナーユニットの活性化

真のパワーと安定性は、四肢の筋肉から生まれるのではありません。その源泉は、身体の最も深層に位置する「コア」、専門的にはインナーユニットと呼ばれるシステムにあります。このシステムを理解し、活性化させることこそが、あらゆる効率的な運動を構築するための安定したプラットフォームを築く鍵となります。優れたランナーが「脚ではなくコアで走る」「おへそから上で走る」と表現するのは、この本質を直感的に理解しているからに他なりません。

インナーユニットを構成する4つの深層筋群
1
横隔膜
主要な呼吸筋であり、腹腔内圧を生成する天井の役割
2
腹横筋
腹部を360度包み込む天然のコルセット
3
多裂筋
背骨の一つ一つを繋ぎ、分節的な安定を提供
4
骨盤底筋群
腹腔の底を支え、圧力を維持する床の役割

インナーユニットとは、特定の筋肉を指すのではなく、協調して機能する四つの深層筋群によって構成される機能的単位です。これらの筋群が呼吸と連動して適切に収縮することで、腹腔内圧(IAP)が高まります。この腹腔内圧が、背骨や骨盤を内側から支える天然のコルセットとして機能し、体幹に驚異的な安定性をもたらすのです。

この安定したプラットフォームがあって初めて、身体は地面からの反力や四肢が生み出す力を、エネルギーロスなく次の動作へと伝達することが可能になります。この一連の力の伝達システムは運動連鎖(キネティックチェーン)として知られ、インナーユニットの安定性はその効率を左右する絶対的な前提条件なのです。

インナーユニットは、単なる筋力的な支柱ではなく、身体の機械的システム、呼吸器系、そして自律神経系を結びつける、神経生理学的なハブとして機能しています。効率的な身体の使い方を追求することが、結果的に「健康長寿」に繋がるのです。

さらに、インナーユニットの活性化がもたらす恩恵は、単に運動パフォーマンスの向上に留まりません。それは、アスリートの健康と長寿にも深く関わる生理学的な効果をもたらします。インナーユニットは腹腔内の臓器を正しい位置に保持し、その機能を正常に保つ役割を担っています。また、主要な呼吸筋である横隔膜を含むため、その機能が向上すると呼吸が深くなり、全身の血流や代謝が促進されます。深く穏やかな呼吸が副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせることはよく知られています。したがって、インナーユニットを鍛えることは、単に「体幹を強化する」という機械的な作業ではなく、呼吸を通じて身体システム全体を調和させるホリスティックな実践なのです。

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パートII:エリートのメカニクスの解体

本パートでは、エリートアスリートに見られる、しばしば直観に反する特異な動作パターンを徹底的に分析します。ケニア人ランナーの効率性を生み出す走法、アキレス腱を生物学的なバネとして利用するメカニズム、そして二次元的な「ひねり」を超えた三次元的な「螺旋」の力学。これらの動きがなぜこれほどまでに効果的なのか、その背後にある生体力学的および解剖学的な原理を解き明かします。

第3章 ケニアの謎:全身的運動連鎖に学ぶ

エリートケニア人ランナーの独特なランニングフォームは、全身的な効率性を追求した結果として現れる、動く芸術です。彼らの走りを単なる才能として片付けるのではなく、そのメカニクスを科学的に分析することで、普遍的な運動原則を抽出することができます。ここでは、特にその効率性を象徴する三つの要素について詳述します。

ケニア式腕振りの3大特徴
1
高く内転させた腕の保持
肘を鋭角に曲げ、脇を締めることで回転慣性を減少させ、エネルギー消費を最小化
2
垂直方向への振動
前後だけでなく上下動を含む腕振りで着地衝撃を吸収し垂直推進力を補助
3
体幹との統合
腕振りを胴体の動きと連動させ、上半身を運ぶ推進器として機能させる

3.1 高く、内転させた腕の保持(高い位置で、脇を締める)

第一に、彼らの腕の保持位置は、一般のランナーと比較して著しく高い位置にあり、かつ肘が体幹に引きつけられ、脇が締まっています。このフォームは、見た目の特徴に留まらず、エネルギー効率の観点から極めて合理的です。力学的に、肩関節を支点とした腕の振り子運動において、腕を高くたたみ込み、体幹に近づけることは、回転軸からの質量分布を小さくし、回転慣性を減少させる効果があります。これにより、腕を振るために必要な筋力が最小限に抑えられ、長距離を走る上でのエネルギー消費を大幅に節約することができます。

3.2 垂直方向への振動(上下の動き)

第二に、腕振りの方向性です。多くのランナーが腕を「前後に振る」ことを意識するのに対し、ケニア人ランナーの腕振りには顕著な「上下動」が含まれています。腕を前後に振る矢状面上の動きは、主に脚の動きを相殺し、身体の回転を抑制するカウンターバランスとしての役割を果たします。しかし、そこに垂直方向の動きが加わることは、腕振りが単なる受動的なバランス調整機能以上の役割を担っていることを示唆します。この上下動は、着地時の衝撃(地面反力)を吸収・緩和し、身体の垂直方向への推進力を補助する、より積極的な機能を持っていると考えられます。

3.3 体幹との統合(腕で上半身を運ぶ)

そして最も重要な第三の要素が、腕振りと体幹の統合です。脇を固く締めることで、腕振りはもはや独立した四肢の運動ではなく、胴体そのものの動きへと昇華されます。この状態では、腕は「脚を動かすため」ではなく、「上半身を運ぶため」の推進器として機能します。この動きは、肩甲骨を介して前鋸筋を活性化させ、腕の動きを肋骨、そして体幹深層部へと直接的に連結させます。その結果、腕振りは胸郭の回旋と背骨のしなやかな「うねり」を生み出す原動力となります。この上半身で生み出された回旋運動は、運動連鎖を通じて骨盤へと伝達され、脚の振り出しをアシストします。腕が、全身を動かすエンジンの始動キーとなるのです。

エリートの腕振りは、身体というオーケストラにおける単なる一楽器ではなく、その全体を指揮する「指揮棒」です。腕振りを洗練させることは、身体全体の運動プログラムを書き換えるための、最も影響力の大きい介入点なのです。

第4章 弾性の利点:生物学的バネとしてのアキレス腱

エリートランナーの推進力は、筋力による爆発的な収縮から生まれるのではありません。その源泉は、腱、とりわけアキレス腱に蓄積され、解放される弾性エネルギーの巧妙な利用にあります。

4.1 ふくらはぎのパラドックス

トップレベルのケニア人ランナーは、驚くべきことに、一般のランナーよりもふくらはぎ(腓腹筋、ヒラメ筋)の発達が小さい傾向にあります。これは一見、矛盾しているように思えます。なぜなら、ふくらはぎは推進力を生み出す主要な筋肉だと考えられているからです。しかし、この「ふくらはぎのパラドックス」こそが、弾性エネルギー利用の鍵を握っています。ふくらはぎの筋肉を積極的に使って地面を「蹴る」動作は、アキレス腱が持つバネとしての機能を阻害してしまうのです。

腱優位の推進メカニズム
STEP 1
着地の瞬間
 
STEP 2
ふくらはぎが等尺性収縮で足首を固定
 
STEP 3
衝撃がアキレス腱に伝達
 
STEP 4
腱が引き伸ばされエネルギー蓄積
 
STEP 5
離地時に弾性エネルギー解放

4.2 腱優位の推進メカニズム

このパラドックスを解決する鍵は、ふくらはぎの筋肉が果たすべき真の役割を理解することにあります。効率的なランニングにおいて、ふくらはぎの役割は力を生み出すことではなく、力を「伝達」することです。

具体的には、着地の瞬間、ふくらはぎの筋群は爆発的に、しかし等尺性収縮(アイソメトリック収縮)に近い形で緊張し、足関節を「固める」のです。この筋の剛性が高いアンカーとして機能することで、着地の衝撃力は筋肉で吸収されることなく、アキレス腱へと直接伝達されます。その結果、アキレス腱はゴムのように引き伸ばされ、膨大な弾性エネルギーを蓄えます。そして、離地の局面でこのエネルギーが一気に解放されることで、爆発的な推進力が生まれます。これは筋疲労を伴わない、代謝的に極めて「安価な」エネルギー源です。

「体幹を使うからアキレス腱が使える」のであり、「アキレス腱を使うから、より体幹にフィードバックされる」という、相互に強化し合うループ関係が成立しているのです。一本歯下駄GETTAの踵落とし機構は、まさにこのメカニズムを体得させるために設計されています。

この原理は、トレーニング方法論に根本的な転換を迫ります。目的は、伝統的な筋力トレーニングによって、ふくらはぎを肥大させることではありません。目的は、プライオメトリックトレーニング(ジャンプ、ホッピング、スキップなど)を通じて、筋腱複合体の「剛性」と、衝撃に対して素早く反応する神経筋系の能力を高めることです。トレーニングの焦点は、「筋力」から「剛性」へ。これは、弾性の利点を最大限に引き出すための、明確かつ実践的な指導方針の転換を意味します。

第5章 第三の次元:螺旋(らせん)とパワーの解剖学

優れたアスリートと偉大なアスリートを分ける決定的な要因は、三次元空間を自在に操る能力にあります。本セクションでは、非効率な二次元的な動きである「ひねり(捻転)」と、パワフルな三次元的な動きである「うねり/螺旋」を対比させ、真のパワーがどのようにして生み出されるのかを解き明かします。

非効率
二次元的「ひねり」
  • 水平面のみの回転運動
  • 力が遠心力として外へ逃げる
  • 効率的な力の伝達ができない
  • 肩幅の広いスタンスに関連
  • エネルギーロスが大きい
高効率
三次元的「螺旋」
  • 水平面に上下動が統合された動き
  • 力が内に収まり効率的に伝達
  • 筋膜に弾性エネルギーを蓄積
  • 腰幅のスタンスに関連
  • エネルギー効率が極めて高い

5.1 ケーススタディ:大谷翔平の打撃フォーム

この三次元的な動きの体現者として、野球選手の大谷翔平は完璧な事例です。彼の打撃フォームは、単なる水平的な「ひねり」ではありません。彼は動作を開始する際に「お腹を上げる」ようにして、身体に「上下動」を生み出し、その結果として爆発的な回旋が生まれます。

この動きを生体力学的に分解すると、一連の運動連鎖が明らかになります。彼のパワーはまず、地面を踏み込むことによって得られる地面反力から始まります。この力は骨盤を回転させますが、重要なのは、その後の肩の動きです。彼の肩は単に水平に回転するのではなく、顕著な垂直方向への傾きを伴います。これが「上下の動き」であり、バットの軌道を三次元的な螺旋状へと導きます。この回転する骨盤と傾く肩との間の時間差と角度差(Xファクター)が、体幹部の筋膜に巨大な弾性エネルギーを蓄積させるのです。

5.2 解剖学的基盤:筋膜の連鎖(アナトミー・トレイン)

スパイラル・ラインによる力の伝達
広背筋
 
胸腰筋膜
 
対側大殿筋
 
外側広筋
 
腸脛靭帯
アナトミー・トレインは、身体を個々の筋肉の集合体としてではなく、筋膜によって連続的に繋がった「経線(ライン)」として捉えます。スパイラル・ラインは身体を螺旋状に走行し、地面から得た力を体幹を通じて末端まで波のように伝達することを可能にします。

この三次元的な力の伝達を可能にしているのが、身体中に張り巡らされた筋膜のネットワークです。アナトミー・トレインは、身体を個々の筋肉の集合体としてではなく、筋膜によって連続的に繋がった「経線(ライン)」として捉えます。

特に、三次元的な回旋運動において重要な役割を果たすのが、スパイラル・ラインやファンクショナル・ラインと呼ばれる経線です。これらのラインは、例えば片側の広背筋と反対側の大殿筋を対角線上に結びつけるように、身体を螺旋状に走行しています。これこそが、大谷のようなアスリートが地面から得た力を、体幹を通じて末端のバットまで、ロスなく波のように伝達することを可能にする、文字通りの「螺旋構造」なのです。

この理解は、コーチングのあり方を根本から変えます。三次元的な動きを指導するには、言語と焦点を転換する必要があります。「大臀筋を締めろ」といった内的な筋肉への指示から、「股関節を斜め上前方へ突き出せ」「体幹の対角線上に伸びを感じろ」といった、身体と空間との関係性を示す外的な指示へと移行しなければなりません。

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パートIII:応用と習熟

本パートでは、これまで論じてきた理論的原則を、実践的なコーチングの枠組みへと転換します。環境がアスリートをいかにして自然な動きへと導くかを探り、三次元的な動きを養うための具体的なドリルと新しいコーチング言語を提示します。

第6章 自然というコーチ:一本歯下駄GETTAで真の動きを学ぶ

トレイルランニングの不整地で変化に富んだ環境は、アスリートが無意識に身につけてしまった非効率な運動パターンを破壊し、身体がより効率的で体幹主導のシステムへと自己組織化することを強いる、理想的な学習環境です。一本歯下駄GETTAは、まさにこの不安定性を「いつでも、どこでも」再現できるトレーニングツールなのです。

一本歯下駄GETTAが引き起こす自己組織化サイクル
不安定な環境
一本歯による極限の不安定性
 
固有受容感覚の強化
足裏センサーが極限まで活性化
 
インナーユニット覚醒
体幹深層筋が自動的に活性化
 
効率的な運動パターン
身体が最適解を自己発見

6.1 一本歯下駄GETTAとケニア人ランナーの共通原理

一本歯下駄GETTAのトレーニングが、なぜケニア人ランナーの卓越した走りと同じ原理を体得させるのか。その答えは、以下のマトリックスに集約されます。

一本歯下駄GETTAとケニア式ランニングの共通原理マトリックス
運動原理 ケニア人ランナーの特徴 一本歯下駄GETTAの効果
インナーユニット活性化 深層筋による安定したプラットフォーム 不安定性により体幹深層筋が自動的に覚醒
アキレス腱の弾性利用 腱優位の推進で代謝コストを削減 踵落とし機構が腱の弾性反射を訓練
三次元的な螺旋運動 上下動を含む体幹主導の動き 腰幅スタンスで自然と螺旋パターンが創発
高効率な腕振り 脇を締め、体幹と統合した腕振り バランス維持のため自然に統合された腕振りが発達
固有受容感覚の精緻化 複雑な地形に対応する身体認識 単一接点が足裏センサーを極限まで活性化
運動連鎖の最適化 全身が協調した効率的な力伝達 身体全体が一つのシステムとして再統合

6.2 登りと下りの課題

登り坂において、「骨盤を上下させて」登ることが推奨されています。これは、登坂時の「パワーポジション」に関する研究と完全に一致します。パワーポジションとは、腰を落とし、体幹から前傾姿勢を取り、大腿四頭筋(ももの前側)ではなく、大殿筋(お尻)と体幹を使って身体を前上方へ押し出す動きです。持続的な登りにおいて、大腿四頭筋のような消耗しやすい筋肉への依存を避け、より強力で持久力のある身体の後面の筋肉群(ポステリアチェーン)を動員することが、効率的な登坂の鍵となります。

下り坂においては、「鎖骨」を使って着地をコントロールするというユニークな示唆があります。これは、アマチュアランナーが恐怖心から後傾姿勢になり、大腿四頭筋でブレーキをかけながら下るのとは対照的です。この「鎖骨」の意識は、上半身の力を抜き、胸郭をリラックスさせ、体幹を安定させることで、上半身をバランスを取るためのジャイロスコープのように機能させることを意味します。

第7章 新しいトレーニング用語集:ドリルと方法論

本セクションでは、これまで詳述してきた三次元的かつ全身的な運動パターンを育成するために設計された、具体的なドリルと新しいコーチングの指示(キュー)を提供します。

一本歯下駄GETTA対応トレーニングプロトコル
背骨雑巾絞り
脊柱の可動性、多裂筋・筋膜活性化
「背骨自身が絞られている感覚」
ケニア腕振りドリル
脊柱と腕の統合、推進力生成
「胸と腹が膝と共に出る」
腰幅での下駄スクワット
パワーの内包、エネルギー漏洩防止
「みぞおちと足首でバランス」
内外旋の原則
筋膜活性化、リラックスした強さ
「四肢内での逆方向のねじれ」

7.1 新しいコーチング用語集:指示のパラダイムシフト

以下の表は、本稿の哲学を現場で即座に実践するための、最も実用的なツールです。旧来の非効率なコーチングキューと、我々の分析から導き出された新しい全身的なキューを対比させることで、コーチが自らの指導法を見直し、変革するための明確な道筋を示します。

運動領域 従来のキュー 全身的キュー 根底にある原則
ランニング:腕振り 「腕を前後に力強く振れ」 「肘を締め、垂直に引き上げろ。腕の動きに胴体を追従させろ」 腕振りは体幹回旋の駆動力
ランニング:推進 「つま先で地面を強く蹴れ」 「地面から軽く、素早く離れろ。足首のポップ感を感じろ」 腱の弾性エネルギー解放
回旋パワー 「腰と肩を速くひねれ」 「地面から始めろ。対角の股関節と肩を引き離し解放」 三次元的な螺旋力学
筋力トレーニング 「カーフレイズでふくらはぎ強化」 「素早いジャンプやホップで剛性を鍛えろ」 腱の反応的剛性向上
姿勢・スタンス 「安定のため足を肩幅に開け」 「腰幅のスタンスでエネルギーが内に収まるのを感じろ」 螺旋運動の促進

第8章 結論:知的自己組織化システムとしてのコーチング

アスリートとは、プログラムされるべき機械ではなく、自己最適化へと導くことができる、知的で適応能力のあるシステムです。

本稿で探求したすべての原則は、相互に深く関連し合っています。体幹の制御が腱主体の推進戦略を可能にし、三次元的な螺旋運動が体幹の活性化を促し、一本歯下駄GETTAという環境がこれらの要素すべてを同時に教え込む。これこそが「ループ関係」であり、システムが自己組織化し、自己強化していく状態です。一度この好循環に入れば、アスリートの成長は加速し、動きはより洗練され、効率的になっていきます。

1
パフォーマンス向上
ランニングエコノミーの改善により、より少ないエネルギーで高いパフォーマンスを発揮
2
傷害予防
効率的な運動パターンと腱主体の推進により、筋肉や関節への負担を軽減
3
健康長寿
インナーユニットの活性化による内臓機能の最適化と自律神経バランスの調整
一本歯下駄GETTAがもたらす究極の恩恵
このアプローチがもたらす究極的な利益は、単なるパフォーマンスの漸進的な向上に留まりません。それは、運動の「質」そのものの根本的な改善であり、結果として、より高い障害耐性、より長い競技寿命、そして自らの身体とのより深い繋がりをもたらします。それは、冒頭で語られた「健康長寿」という理想状態の実現に他ならないのです。コーチの役割は、アスリートという知的システムが、自らの内に秘められた最適解を発見するための、環境を設計し、問いを投げかけ、気づきを促すガイドとなることです。
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参考文献
1. 効率の良い走り!マラソンで重要な「ランニングエコノミー」とは – RDC GYM
2. インナーユニットとは? – パーソナルジム MAKE
3. ストレス過多に要注意。使える体幹作りに「横隔膜強化」が必須なワケ – Tarzan Web
4. キネティックチェーン(運動連鎖)とは? – くびれサーキット
5. ケニア人ランナーの特徴を応用する – GETTA
6. トップランナーと市民ランナーの腕振りの違い – JARTA
7. バネを使った走りとは。アキレス腱の弾性エネルギーを活用する為
8. 完全解析:大谷翔平・最速ホームランに宿る連動の極意
9. アナトミー・トレイン – 医学書院
10. 基本を身につけよう!トレイルランの走り方のコツ – マウンテンシティ
一本歯下駄GETTA 宮崎要輔
一本歯下駄GETTA 宮崎要輔一本歯下駄GETTA 宮崎要輔
記事一覧

はじめまして、宮崎要輔といいます。

一本歯下駄を求めてこのページに辿り着き、この文章を読まれている方は、お子さん、子供たちに対して本当に愛のあるお父さん、お母さん、指導者の方や向上心が本当に高く、感性、感覚がとても高い選手だと思います。

だからこそ、そうした子どもたちを支える周りの大人の方々の愛、向上心の高い選手の気持ちにこたえられるように、このサイトから一本歯下駄の使い方や理論、トレーニング、活動について最大限にサポートしていきたいと思います。

まず初めに私と一本歯下駄との出会い、一本歯下駄の理論について文章で紹介したいと思います。

私が、一本歯下駄との出会ったのは、約14年前でした。当時は陸上競技で100m、400m、走り幅跳びをしていたのですが、一本歯下駄を履いたのちに走った時「競技者として自分に足りなかったのはこの感覚だった」と強く衝撃を受けたのをおぼえています。

私は小学生の頃、多くの人がそうであったように歴代で1番の選手になりたいという夢を持ってスポーツに対して無我夢中の日々を過ごしていました。

どうやったらうまくなれるか、速く走れるか、そのコツは何なのか、誰よりも努力して勉強したい。そんな夢中の中にいました。おかげで小学生の頃は野球にサッカー、陸上、バスケットボールと幾つものスポーツを自分の中でありのままに思う存分に楽しむことができました。競技結果も周りからの評価も自分が楽しめば楽しむだけついてきました。

ただ、中学生になると多くの環境の変化の中でそんな自分は遠くの存在となります。一時はスポーツそのものが嫌いな時期もありました。高校生になると中学時代の空白を埋めようと誰よりも努力しましたが小学生の頃の「無我夢中の中でコツを掴む」感覚は取り戻せずにいました。

当時は、自分より身体が小さく、筋力がない選手でも自分より速く走れる選手がいることにわけがわかりませんでした。その差はセンスや才能という言葉でしか思いつきませんでした。負けじと、走り込みは勿論、ラダーやウエイトトレーニング、加圧トレーニングに、初動負荷トレーニング、ケトルベルでのトレーニングと自分にできる努力を積み重ねても一向に届きません。誰よりも速く走れて、誰よりもスポーツが得意だった小学生のあの頃の自分はどこにいったのだろうか。高校時代の私は、中学時代の空白期間になくしてしまったものは、あまりにも大きかったと思っていました。

そうした心境もある中で一本歯下駄と出会い冒頭で書いたように「競技者として自分に足りなかったのはこの感覚だった」と強く衝撃を受けたのです。

この感覚がなかったのだから、どんなに努力してもあの時の「無我夢中の中でコツを掴む」感覚にもならなければ、全国トップの選手にもなれなかったのは当然だと納得しました。

中学生の頃の自分のように環境の変化で苦しんでいる選手。高校生の頃の自分のようにどんなに努力しても伸び悩んでしまっている選手に、この一本歯下駄を届けたい。

それが今日まで私が一本歯下駄と16年以上関わり続け、唯一のスポーツ型一本歯下駄を取り扱っている理由です。

「本人の才能や努力」では突破できない「出会い」や「環境」のカベを突破できる可能性を一本歯下駄は、もっていると確信しています。

「出会い」や「環境」はそれなりの年齢になれば、自分で選ぶことができますが、子どもにとっては、なかなか理想な「出会い」や「環境」を自分で構築することは難しいです。

そしてそれもまた地域格差があります。

本人の気持ちや努力、才能というものがいくら揃おうとしも、それを理解してくれる大人や指導者との出会いがなければ何処かで潰されてしまう現実があります。一本歯下駄は、この部分を社会的に変えられると思うからこそ、ずっと続けてきました。

一本歯下駄の理論やトレーニングは勿論ですが、一本歯下駄を通してできたつながりを子どもたち、選手たちに地域の垣根をこえて届けることで一人一人の人生が今より楽しく、その人らしくあるものにしていけたらと思います。

そのために、このサイトを運営していますし、そうした機会を作るための仕組みやイベントを続けています。

今は、一本歯下駄認定インストラクター、一本歯下駄認定トレーナー、一本歯下駄愛好会といった形で、共にそうした環境をつくっていける方々と共有しながら、新たな出会いを楽しみにしています。

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